フーテンのあるるかんの特撮三昧の備忘録

日常と特撮について語るブログです。

ウルトラセブン「盗まれたウルトラアイ」は物悲しく孤独にまみれた一人の異星人の少女とダンの物語でした。

こんにちは、あるるかんです。本日はウルトラセブンの中でも、異色作の一つの数えられる「盗まれたウルトラアイ」のレビューをしようと思います。

 

このお話では異星人の異形の姿や怪獣は一切登場せずただマゼラン星からの侵略用ミサイルが登場と輸送用の宇宙船が描かれるにとどまっているのみでウルトラセブンの十八番である宇宙人や怪獣の戦闘シーンは全くない本当に人間ドラマに焦点を置いた作品です。

 

そしてウルトラセブンことモロボシダンが最後に変身アイテム「ウルトラアイ」を奪われたお話でもあり、マゼラン星からのスパイとして送り込まれた「マゼラン星人マヤ」はウルトラセブンを変身不能への工作を行うまさに侵略者なのですが…。彼女は母星にも裏切られてしまう非業の運命をたどります。

 

 

ムカエハマダカ・・?そう繰り返される暗号通信にも応答がなく、彼女はこんな狂った星に侵略する価値はあって?とダンに言い放ちひたすらに母星からの返信を待ち続けたが・・・。母星から切り捨てられたことが発覚すると、彼女は自滅の決断をして、消滅するのです。

 

 

ダンは夜の街をさまよい、なぜこの星で一緒に生きる道がなかったのだと嘆き交じり惜別の言葉を吐きだします。あまりに無情で救いのない展開ですし、新進気鋭の実相寺監督と脚本上原正三氏のタッグで作られた骨太のドラマ性と物語が描かれました。

 

 

いわゆる特撮番組でも予算が底をつき始めていた頃の製作現場の台所事情もあったかとは思われますが怪獣を登場させなくても成立することを証明したウルトラセブンの中でも珠玉の作品であったと思います。

 

 

55周年記念の新予告も置いておきます。

 

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美しき終劇仮面ライダーギーツの最終回ここからがハイライトと言える出来でした。

願い続ければ想いや願いや夢は叶う。一見偽善的にも聞こえるキレイ事じゃないかと言われる向きもあるかもしれませんが・・・。今回の仮面ライダーギーツに関して言えばこの結末とテーマは概ね正解であったと思うのです。

 

美しく、きれいで希望にあふれたこの物語の締めくくり方に至る過程をこの一年間のギーツの物語の歩みが人間ドラマとしてはかなりどろどろとしたライダー同士によるデザイアグランプリのゲームにおける骨肉の争う部分も多くあったと思います。

 

 

これは2002年の仮面ライダー龍騎から端を発したライダーバトル要素を踏襲し、令和の時代においてこういったギスギスしたドロドロ展開は描きにくくなっている現状で物語の結末を締めくくる意味合いでも、願い続けるということを主題とすることで希望や明るい未来を示唆するという点でも絶望の未来から来た未来人の運営やオーディエンスからの脱却と乗り越える障壁としてこの終わり方は素晴らしかったと思うのです。

 

 

今は表現の自由や過度の自主規制、コンプライアンスなど色々と制限を受ける世知辛い世の中において様々な現実からの投影や暗喩を含みつつ、その制限に立ちむかい挑戦し続けた結果が本日の最終回の終わり方を迎えたのだと思います。

 

平成から仮面ライダーはいわゆるアクションパートのみならずドラマパートの拡充を行った結果人間ドラマの強化が図られてきました。

 

今回の終わり方で令和シリーズに似通った点も散見されましたが、そこを拾い上げるより新しい時代に挑戦し続けたこの結末をまずは称賛したいと思います。

 

次週からは新たなる仮面ライダー「ガチャード」が物語を紡ぐでしょう。そこにまた新たな挑戦を見れると嬉しいところですね。

 

 

ウルトラマンブレーザー第7話「虹が出た」前編は現実を投影しながらミステリアスでファンタジー性も含んだお話になりました。後編が楽しみです。

おはようございます。

 

今朝見逃し配信にて見ておりました。前後編ということでまだ先の展開は未知数ですが、大まかなあらましは怪獣を研究する学者であり、ヒルマゲントの恩師である、横峯教授は神とも言える怪獣にまつわる神話や伝承の研究の第一人者である彼にヒルマゲントは現実とリンクしたこの猛暑と逆さ虹の関係について尋ねに行くところから物語は始まるのですが・・・。

 

その時を同じくして天弓怪獣ニジカガチが出現し、天候を操り、あらゆるもの取り込み、食い尽くし雨を降らせる神のごとくその天変地異を引き起こすまさに自然そのもの人が抗えない神のような怪獣でした。

 

そのニジカガチの出現には恩師横峯博士は復活の儀式に関わったことで地球のリセットを行使するために生贄のように彼は依代としてニジカガチと共に行動を開始するのです。

 

そして台風が同時多発的に7つも発生し、まさに未曾有大災害が起きようとする中、アースガロンで出撃するのですが居かなり攻撃も通用せず、行動不能になるアースガロン、ゲントはウルトラマンブレーザーに変身し戦いを挑むのですが・・・。必殺技も競り負け一敗地にまみえて強制変身解除し、場面は終わります。初めての人類とブレーザーの敗北気象や天候を操り大災害を引き起こすニジカガチを倒すことや制することはできるのか後編に続くといった展開です。

 

またアースガロンの強化装備の改修も冒頭であったような軍備増強の側面も描かれるようですし、人はどこまで戦う力を得るに至り、何を失い罪を背負うのか、神のごときニジカガチの神判を彼らはどう抗うのかそこも見どころであると思います。初の前後編がここまで深いお話になると思っていませんでしたし、こういうのが人と怪獣が共に生きることに障壁になってるのだと思えます。

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人はどこまで行き着けるのかを模索する彼らの戦いを見届けたいです。

 

ウルトラマンデッカーとウルトラマンブレーザーを見ていてどちらも映像とともに演出など色々と工夫されているなと感心している最近の私です。

令和になってウルトラマンタイガから現行のブレーザーまでの作品群を輩出し、ニュージェネレーションヒーローとして総決算したタイガからZへの変遷を経てティガとダイナのリブートを行ったトリガーとデッカーでしたが、とりわけデッカーの演出や魅せ方やキャスト陣のすばらしさ、脚本と映像の切り取り方が素晴らしく新たな挑戦をしていて、見事に令和の特撮、令和のウルトラマン像を構築するに至ったと感心しきりでした私個人的にも。

 

そして現行のウルトラマンブレーザー、これは本当に挑戦し続けているウルトラマン像のアグレッシブに追及する作品であると同時に、野生児ののような狩猟民族のような新たなスタンスのウルトラマンであるという仮面ライダーアマゾン仮面ライダー響鬼のような刷新し、新規開拓を目指すリブートに対を成す完全新生を謳ったようにも思えます。そしてその前作デッカーをそれらの広大な実験場としつつ、そこで培われた要素と演出方法と作劇法を活かしつつ、果敢に挑戦しているのが、今作ブレーザーでもあると思えるのです。

 

デッカーにおいてはダイナの正統な続編としての位置を確立し、ダイナ本人も未来から救援に来るなどサプライズ要素は劇場版も見受けられトリガーから受け継ぐ要素を活用しつつ、メカニックと人が乗る戦闘機にはやはり燃える要素は満載でしたし、何より人、異星人、そしてウルトラマンが手を取り合いスフィアという人類や知的生命体の可能性を否定する存在に打ち勝つのがダイナでも出来なかった大団円を生みました。

 

 

それは令和の新たなるウルトラマンの地平に輝く新たなる光そのものでした。現行のブレーザーにも大きな期待を寄せて、これからも期待に胸躍らせながら視聴を続けていこうと個人的には思っています。

大変ご無沙汰しております。久々の更新は今春公開のシン仮面ライダーでいこうと・・・

時代が望むとき仮面ライダーは甦る。1971年故石ノ森章太郎先生の企画原案原作によってテレビシリーズとして放送された特撮アクション番組、それが仮面ライダーでした。

 

 

社会と科学の発展に裏に潜むその暗部としての秘密結社ショッカーにより改造されてしまった青年本郷猛がはからずも得た力を能力用いてその身体能力駆使し、異形の姿「仮面ライダー」へと変身し、力なき人類に味方し、ショッカー-からの裏切り者の烙印を押されながらも同じく改造手術を受けて脳改造を受けたいわば同胞のような怪人たちとの激闘を繰り広げ、巨悪ショッカーとの闘いを描いた本作。それが物語の骨子であり、昭和から平成令和へと連綿と続く特撮ヒーローの一角ともなりました。

 

その50周年記念作品の一つとして制作されたのがこのシン仮面ライダーでした。製作の指揮を取ったのはシンゴジラやシンウルトラマン、シンエヴァンゲリオンなどを手掛ける庵野秀明氏でした。

 

シンウルトラマンの衝撃とブースト効果も相まってシン仮面ライダーはどのような作品になるのか個人的にも期待は大きくなっていきました。

 

 

そして公開の前夜祭の日に鑑賞してきました。まず結論言えば素晴らしかった。夢中で見てしまった。そして何より令和の世界で昭和から受け継ぎ発展させた新解釈の下に紡がれた物語とアクションシーンの数々に息をのみとにかく圧巻の出来であったのです。

 

本郷猛を演じた池松壮亮氏と一文字隼人を演じた柄本佑氏の共演も対比がしっかり演じ分けられナイーブなコミュ障の本郷と明朗快活でニヒルな一文字というテレビの初期版と漫画版での主人公に寄せた演出に好感を持ちました。

 

ですが、それを上回るキャラクターとしての存在感は緑川ルリ子役の浜辺美波さんの演じ方とそのルックスによってスクリーン画面のドアップの絵が完全成立してしまう、キャラ立ちに女優としての魅力を感じました。彼らの運命の歯車は噛み合わさり、ドラマパートと深みを持たせることに成功しました。

 

ところどころに見受けられるテレビや漫画への原典に対するオマージュやリスペクトも感じられ、マニアやオタクならニヤッとさせられるネタも含まれている点も個人的には高評価のポイントでした。

 

ただ熱心なファンやオタク、マニアではないと理解できない要素もあってそこは置いてけぼりになった人もいるのではないとは思ったりもしましたが…

 

戦闘シーンでも物議をかもしたらしいショッカーライダーとのバトルシーンも個人的には再現できない雨での戦闘とバイクアクションを漫画版へ寄せれない現実を受け入れ作品として成立するだけのクオリティ維持するための苦渋の選択でもあったし。それが暗闇でのトンネルシーンへの移行ととらえますが果たして・・・

 

最後にネタバレを含みますけども、死亡した本郷の意思を遺した新たなライダーマスクと新しきライダースーツを身に纏った一文字隼人が二人で一人の仮面ライダー第二号+一号となり、改良されたニューサイクロン号を駆りふたりで会話しながらサイクロンの排気音を聞きながら走行し、疾走するシーンで終わるのがとても心地よく最後のレッツゴー仮面ライダー、ロンリー仮面ライダー、かえってくる仮面ライダーの三連曲に涙したおっさんでした。仮面ライダーは時代と共に颯爽と現れて飄々と敵を倒し、いずこともなく去っていく孤高のヒーローなので・・・。

 

 

 

 

 

ウルトラギャラクシーファイト運命の衝突にみる、ウルトラマンの新たな地平

先日ウルトラサブスクである円谷イマジネーションにて配信されていた、ウルトラギャラクシーファイト運命の衝突は前作の大いなる陰謀に続くギャラファイ第三弾として配信されました。

 

多くのサブスク会員からも好評を得ています。個人的には中だるみもあったと思いますが、後半のラッシュの連続のような展開には確かに燃えるものがありました。

 

ウルトラリーグの招集だけではなく、昭和、平成、令和の全世代にわたるウルトラマンがほぼほぼ登場活躍する展開には驚きもありました。前半でいえばニュージェネレーションズの面々との再会、グリージョの深掘りが印象的でした。ギナスペクターとの関係性など見どころが結構あったと思います。

 

そして中盤ウルトラマンUSAのウルトラフォースとリブットが共闘し、アブソリュートティターンとの闘いのさなか、ネクサスの介入によって生まれた絆のシーンは今後に含みを待たせました。

 

また新キャラクターウルトラマングロスの展開も気になるところです.新作配信決定しており、ますます目が離せないところです。

 

それだけではなく、ウルトラファンがときめき、ツボを押さえたファン心理響く演出の数々は珠玉のものでした。

 

アストラが株が上がりっぱなしだし、ヒカリのアーブギアでの姿であるハンターナイトツルギの再臨やゼノンやセブン21、アンドロメロス、ビクトリーたちの活躍さらには援軍としてのジャスティスにはきっと龍臣プロは歓喜したに違いところです。

 

7人の共同戦線は黒澤明 の7人の侍や荒野の七人、栄光の7人ライダーにも通ずる、本当に熱い展開の応酬でもありました。

 

最終決戦の惑星ブリザードでの決死戦の胸アツの戦いにおいてもウルティメイトシャイニング、メビウスインフィニティ極め付けはZの最終形態デスシウムライズクローの登場、まだ先が読めないほどにトッピックの多さはこのギャラファイシリーズの代名詞となりそうな予感がします。

 

キングが救援に来た時にタルタロスの言い放ったあのお方なる存在ウルトラマンとアブソリューティアンの行く末、共存は出来るのでしょうか?それとも全面戦争に至ってしまうのか?

 

そしてマルチバースのトリガー世界に飛ばされたリブットとタルタロスとディアボロはテレビ本編と連動する形で幕を閉じました。

 

次々と迫る危機に緊張感ある描写はウルトラマンの可能性と新たな地平を切り開く起爆剤的なシリーズになり得ると今作を見てふと思いました。

 

今後もまた追いかけていこうと思います。長くなりましたが今日はこの辺で。では。

劇場版仮面ライダー龍騎 EPISODE FINALと13RIDERSは私の忘れ得ぬ思い出の作品です。

こんばんは。あるるかんです。

 

今宵もまたしばし、このブログ記事にお付き合いのほどを。

 

今回なぜ、この仮面ライダー龍騎を選んだかというと、ただかけがえのない今は亡き友人と学生時代見に行ったり、自宅で一緒になって視聴した私の個人的にすごく思い入れのある作品がこの両作品でした。

 

9.11の同時多発テロを受けて、特撮作品や番組に至るまで多大な影響を与えたのが、この前代未聞のテロ事件を鑑み、当時の東映の製作陣はアギトの次回作にどのような正義を提示するのか?盛んなディスカッションが行われ、最終的に行き着いたのは正義あり方とは絶対的な正義などはあり得ない、人の数だけ正義や思想、行動原理があるということ提示したうえで仮面ライダーが殺しあうバトルロワイヤルが描かれることになりました。

 

頼れるのは己のみ、お互いに戦い最後の一人になるまで戦う、それは純粋な願いであり、最後の一人が見る光景はおのが望みをかなえるといったってシンプルかと思いきや、そこには人間の業が描かれ、あるものは恋人の命を助けるために、あるものは不治の病から助かるために、またある者はライダー同士の戦いを止めるため、ゲームに興ずるように戦うもの、殺戮と暴力を実現する脱獄犯、ゆがんだ正義感から英雄になることを望むもの、幸せになりたいと願うもの。13人の仮面ライダーにはそれぞれの思惑があり、正義がありました。

 

それをまだシリーズ途中での夏の劇場版として最終回を先行上映したのが、EPISODE FINALとTVSPの13RIDERSの視聴者参加型のラストの結末を選択できるというものでした。結論から言えば劇場版もTVSPも終わりなきエンドレスワルツのような終わりなき戦いの行く末を暗示していてパラレル的に展開したのがこの両作品、どのみち戦いを止めようとも続けようとも、仮面ライダーが人間である以上それは決して終わることのない生き地獄であり、修羅の世界。誰かの犠牲で成り立つ現実への暗喩ともとれる、それを強いるセカイ系の中で彼らはあがき続けました。そしてミラーワールドの創造主たる神崎兄妹も妹は自死し、その姿に絶望し消滅する兄により、世界は崩壊する劇場版親友と認識しながらも最後闘う運命から逃れられない城戸と蓮

 

テレビシリーズでも最終回において神崎兄妹は消滅し、過去の自分たちの異界ミラーワールドに自らを閉じ込めることでライダーバトルが起きない世界のために自らを滅する結末は本当に切なかった。

 

彼らの戦いはドロドロした人間模様も描かれたり、日常を描きつつ最終回のこの戦いには正義はないただ純粋な願いだけであるに集約されるのです。

 

この作品を見返すたびに亡き友人との思い出がよぎり、彼が存命ならどんな特撮談議が今できるのだろうか?と叶わぬ思いがいまだどこか心に遺っていて若くして旅立った20年以上前に立ち戻れるそんな思い出の作品です。